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2021年度製造業のIoT

みなさんこんにちは、Cyack Labの藤原です。
今回は2021年度の展示会でどのようなIoT関連製品があったのか、またどのようにIoTを製造業で活用しているのかをみなさんと情報共有したいと思います。

装置の状態を把握する

製造業のIoTと言えばミエルカが代表的だと思います。ミエルカとは装置の稼働状況や人の動き、作業実績等をPC等で見られるようにすることです。
展示会でも多くの企業がミエルカ関連の製品を出しています。
その中でも装置の稼働状況を把握するIoT機器は製造業のIoTでは王道と思います。
動作としてはIoT機器に装置を制御しているPLCやセンサー、スイッチ等から信号を入力します。
入力された信号を基にIoT機器は上位のPCやサーバー等にデータを送ります。
データはアプリ等によって人が見やすい形に編集され表示されます。
以前までは通信で対応しているプロトコルはEthernetやRS-232Cだけであったり、産業用プロトコルもEtherCATやModbusだけ等の機器が多かったです。
しかし、最近では通信にほぼ全ての産業用プロトコルに対応できるような機器も出てきており驚かされます。
通信に対応できない等の問題は解消されつつあるので今後はデータを見せるアプリの部分でどれだけ価値を提供できるかが差別化のポイントになりそうです。
また、取り付けやすさや導入のしやすさは今後もポイントになると思います。

人の位置を把握する

人や物の位置を把握するIoT機器も以前からありましたが屋内または屋外でしか使用できない物がほとんどでした。
屋内ではビーコンやRFIDタグ、屋外ではGPSを使う事が多いですが、最近とうとう1つの機器で屋内でも屋外でも位置情報を取得できる物が出てきました。
位置情報の活用として1つは人の安全を監視することがあげられます。
転倒検知や脈拍、一定時間動作が無いことを検知する等の技術と組み合わせ、危険だと検知するとアラートと作業員の位置を通知します。これによりいち早く作業員の救助に向うことができます。
その他の位置情報の活用としては作業員の動線を把握することがあります。
作業員の動線を把握し部品箱やツール、工作機械等のレイアウトを最適化することもできますし、効率良く働けている作業者とそうではない作業者の動線を比較し、何が違うのか検討し改善する等の活用も行えます。

予兆保全

この予兆保全は年々出展しているメーカーが増えていると感じています。
簡単な動作原理としては振動や温度、湿度等のセンサーをポンプやモーターに取り付けデータを収集します。その収集したデータから故障の前兆(正常動作では得ることができないデータ)を読み取り、メンテナンスのタイミングを最適化するというものです。
また、ポンプやモーターは後付けが多いですが、工作機械やボールねじ等はすでにセンサーを内蔵している物もあり、メーカーが既に取得しているデータと照らし合わせて故障の前兆を読み取る物もあります。
故障の前兆を読み取る際に使用されることがあるのがAIになります。AIは急速に進化している技術でもあり、AIの進化によりこの予兆保全の技術も今後進化していくと思います。
しかし、あくまで予兆ですからAIの判断が正しいかどうかを検証するのは、実際にIoT機器を使用している側は難しいかもしれません。そのためメーカーを比較し、より良いIoT機器を選定するのも難しい分野になると感じています。

その他

その他の物としてスマートフォン関連の製品も少し目立ってきているのかなと感じました。
スマートフォンをカートに取り付ける器具を紹介している企業や、スマートフォンの画面をヘルメットに取り付けたホログラスに反射させて見ることができる装置などがありました。
FA用途向けに開発されたスマートフォンやタブレット等も色々な種類のものが販売されているので、これから工場内でスマートフォンやタブレットを使用するシーンは益々増えてくると考えられます。
今までは取得したデータを管理者等が見る機会が多かったかもしれませんが、これからは取得したデータを作業者が直接利用できるような仕組みが増えてくると思います。また、安全性の確保を含めスマートウォッチの導入も進みそうです。
スマートフォンの導入を進めるうえで必要なのが通信インフラの構築になります。スマートフォン等は基本的には短距離無線での通信のみしか対応していないので、社内LANにどのように繋ぐかや長距離無線との併用をどうするかがポイントになってくると感じています。